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Wrapping Paper
専門学校でグラフィックデザインを教える(2)レトロ印刷で包装紙のデザイン
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2018.6.25

前回(展覧会のデザイン)の続きです。何をテーマにするか迷って他の先生に相談したら、「生徒にとって身近なもの…例えば包装紙とかいいんじゃないですか?」というアドバイスを頂いたので、今回は以前にもやったことがあり、手応えのあった包装紙のデザインを課題にすることにしました。


課題:「なに包む?のラッピングペーパー」

オンラインでリソグラフ印刷を注文できる「レトロ印刷」を使って、プレゼントに使うラッピングペーパーをデザインして下さい。
実際に包む対象を想定して、それに似合うデザインを考えて下さい。
※例:チーズを包む紙、ワインを包む紙、ペンを包む紙、などなど…

◯仕様について
・「ペラ紙で印刷→フチあり印刷A3サイズ」で印刷注文し、納品された印刷物を提出して下さい。
・印刷費は各自で支払って下さい。部数は自由です。
・紙と印刷のサンプルはここから購入できます。
・ペーパーを帯状にするなど、中身を完全に包まなくても大丈夫です。
・リボンや紐なども別途用意してもらっても構いません。
・発表時は、「ペーパーそのもの」「実際に包んだ状態のもの」の2種類を合わせて行ってもらいます。

◯狙い(これは生徒に説明していません)
・普段はレーザー・インクジェット出力しか体験したことのない学生に、リソグラフ印刷を体験してもらう
・通販印刷を使った印刷発注の流れ(入稿仕様・納期などについて)を体験してもらう
・蛍光色などの特色の扱い、印刷の網点などについて理解してもらう
・平面としての紙と、包装紙として立体化したときの見た目の違いやその調整について学んでもらう

◯スケジュール
・1週目…(前回の講評終了後)課題説明・アイデア出し
・2週目…制作開始
・3週目…デザインチェック
 (この間、レトロ印刷に発注〜納品)
・4週目…発表


実際の流れ

今回は学生にとっても分かりやすいテーマだったのか、製作時に煮詰まるような様子はほとんど感じませんでした。一人ずつ呼び出して進捗をチェックしたり、制作面でのアドバイスをする程度でスムーズに進みました。期間の設定が少し短かくて、ラフの段階で気になった点をこちらから詰めるといったやり取りは前回に比べると足りなかったかもしれません。


完成した作品(一例)

前回はお見せできないテーマだったので、今回は学生に掲載許可を取った一部の作品を紹介します。
※ここに出てこなかったからと言って出来が悪い訳ではないので、学生は心配しないでください。

3年生の作品。アウトドアが好きな家族のためにソックスをプレゼントするときの包装紙。英語がちょっと?ですが、色使いがとても綺麗でした。

3年生の作品。左:社会に出るときに必要と言われる3種類の判子を包む包装紙。ロゴ付き。右:電子タバコを買ったお父さんのための包装紙。水蒸気をイメージしたグラフィック。絵が綺麗なのでリボンは必要ないかもしれないけど、あった方がお父さんは喜びますね。

こちらも3年生の作品。手芸店の包装紙をイメージ。もう少し遊びも欲しいところですが、レトロ印刷で制限があるから生まれる色使いが綺麗でした。

2年生の作品。書店の包装紙をイメージしたそう。点線で切り離して「しおり」として使える…とのことですが、薄すぎてしおりは厳しいかもしれません。でも、この点線はグラフィック的には新鮮で良いなと思いました。

これは入れ知恵シリーズ。メカ好きの2年生がテーマに困っていたので、ガンプラとか好きでしょ?と言いながら一緒に考えたアイデアです。うっかり助け舟を出してしまいがちなので、気を付けたいです。

最後も2年生の作品。20歳を迎える友人にプレゼントを贈るためにデザインされたもの。植物のイラストは、中心から芽→花が咲くまでを20段階で表現したロマンチックなデザイン。グレート金の色彩も上品で良いと思います。


今回の気付きメモ

・テーマがシンプルな分、ディティールではないアイデアや色彩の部分では、自分より上手いな…と思える作品が多かったです。
・特に良いな、と思った作品は、家族や友人が対象として設定されていて、相手の状況や「こうしたら喜んでもらえるかもしれない」といった理解度が完成度に反映されているなと思いました。
・学生の反応も良く、今回は楽しかったです!と言ってもらえたり、学生同士で包装紙を交換し合うシーンが見られたりと楽しい状況が生まれていました。
・発注が間に合わなくて提出が出来ない人が結構居たり(想定の範囲内ですが)、印刷するのが精一杯でラッピングしたときの仕上がりに難があったり、単純に折ったり貼ったりの加工が雑な人も目立ちました。


今、気になっていること

・上記の気付きについて、その場で総評として言えたら良いのですが上手く言えず、こうして記事にまとめるタイミングでようやく振り替えれるのが遅すぎる…と我ながら思います。
・アイデアやラフのチェック段階で、どれぐらい寄り添って考えるか、そのバランスが難しいです。うっかり答えを出してしまったりとか、その逆で何も言えない状況になってしまったりとか…。


全体としてはスムーズに進んだし、手応えも上々でいい課題に出来たなと思いました。
次はちょっと捻った、頭を使う方向の課題にしてみる予定です。