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HARUKI & MITSUHIKO
村上春樹と佐々木充彦
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2018.7.29


村上春樹「職業としての小説家」の文庫版を読み始めた。エッセイはたくさん出ていて、一応ファンなので殆ど読んでいると思うけど、本人が自分の仕事や作品について語っているこの本は珍しいタイプかも。

まだ少し読んだだけだけど、さっそくデビュー作「風の歌を聴け」の話が出てきた。この作品は最初、万年筆と原稿用紙で書いてみたら「読んでいて面白くないし、読み終えて心に訴えかけてくるものがない」と思い、何でも良いから普通じゃないことをやってみようと、オリベッティの英文タイプライターを使い、最初の1章を英語で書き、それを日本語に翻訳してみたことであの文体が生まれたとのこと。
よく「翻訳された日本語っぽい」と言われる村上春樹だけど、実際に翻訳することで生まれた文体と聞いてすごく納得が行った。

これを読んでいて思い出したのが、友人の漫画家・佐々木充彦先生のデビュー作「interwall」のこと。インターウォールも、最初「ダンス・ダンス・ダンス」の影響を受けて小説を書いてみたところ、ぜんぜん面白くないと言われて漫画で書き直したという経緯があったことを知っていたので(インタビューはこちら)、好きな作家同士のシンクロニシティのようなものを感じてちょっと嬉しかった。

佐々木さんは村上春樹のこのエピソードを知らずにinterwallを描いていると思うので、自力でこの方法に辿り着いていて凄いと思う。最近の佐々木さんの漫画は一般的な漫画の形式に近付いていると思うけど、interwallは初期のこのときにしか描けないような表現に溢れていて、おすすめです。