taromagazine™ / taro misako
Anish Kapoor
別府と福岡の展覧会メモ(アニッシュ・カプーア、Nerhol、川辺ナホ)
/
2018.12.7

11月末、滑り込みで別府の『アニッシュ・カプーア in BEPPU』を観に行こうと高速バスに乗り込んだ。
同じ別府で行われていたNerhol展の撮影のため、ちょうど現地に滞在していたシェアオフィス仲間のやましんさんとご飯を食べに行く約束をしていたので、前入りして夕方に到着。

というわけで連れて行ってもらった、にんにく料理(韓国料理)の店「味の高麗房」。写真の蒸し豚を始め、何を食べても美味しかった!男らしい盛り付けが食欲をそそる感じだったので、2人で食べるのも良かったけど、大勢で美味い美味いと言いながらわいわい食べたら楽しいだろうな。

お店のオーナーがアニッシュ・カプーアを始め、Nerholのことも知っていたので、別府の人のリテラシー高いな〜と思っていたら、後からその理由が明らかになるのだった…

翌朝、Google Mapで見つけた公衆浴場「富士見温泉」で朝風呂(100円)。かなり温度の高い別府らしい温泉で、朝からシャキッとした!

同じくGoogle頼りでたどり着いた「KIHEI CAFE本店」で600円のモーニング。コーヒー豆の卸をやってる会社の直営店みたいで、良心的な価格。800円出すと朝からステーキ付きのモーニングが食べられるんだけど、前日に食べすぎて挑戦できず。残念。

商店街には今回のアニッシュ・カプーアのポスターがちらほらと飾られていた。シルバーの鏡面紙にタイトルと日付がパンチングされた、とてもミニマルなデザインは田中義久さんによるもの。長嶋りかこさんもそうだけど、自分と同じ1980年生まれなので、動向がいつも気になる人。

というわけで、『アニッシュ・カプーア in BEPPU』の会場、別府公園に到着。公園の入口でお金を払って入るのかな…と思ってたら、目玉の作品であるステンレスの巨大な鏡「Sky Mirror」は普通に置かれていて、誰でも無料で見ることができる状態になっていた。隣からは中学か高校の陸上部が練習する声が聴こえてきて、作品の神秘的な雰囲気は台無しだけど、これはこれで、のどかで良いのかな。

それより気になったのは作品の周りに張られたロープで、触られたくないのは分かるけど、見た目が安っぽくなるので無理しても外した方が良かったと思う。監視員もいることだし。何か理由があったのかなあ。作品自体は素晴らしいので、本当に残念。

裏はこんな感じ。ロープが無ければもっと良いのに…。

有料の会場は今回のために建てられた(!)2つの建物に分かれていた。1つ目は福岡市美術館が所蔵する「虚ろなる母」にも通じる抽象的な作品「void the pavilion」1点だけの建物。作品自体は良かったんだけど、壁に設置された作品の重みのせいか、壁にヒビが入っていて隠された仕組みが分かりやすくなってしまい、残念だった。

もう1つの建物では最近作られた、身体をモチーフにしたような作品やペインティングの作品がいくつか展示されていたけど、会場がコンパクトすぎて、作品の魅力が伝わって来ないように感じた。奥で流れていた、BBCかどこかの制作したカプーアのドキュメンタリーが一番面白かった…。

この2箇所+無料のSky Mirrorで1200円という価格は、アーティストの評価を考えると安すぎるぐらいなのかもしれないけど、個人的にはちょっと割高だなというのが正直な感想。「アニッシュ・カプーアの大規模な展覧会!」という触れ込みがなければ、がっかりせずにまっすぐ作品を見られたかも…とも思う。

次は前述の田中義久さん+飯田竜太さんによるアーティストデュオ「nerhol(ネルホル)」の展示へ。カプーア展の会場にあったサイン、あのおしゃれなnerholが大変ざっくりとした扱いになってて面白かったので撮影。

nerhol『釘がないので For want of a nail』展。約1ヶ月間の滞在期間中に別府をリサーチし、そこで出会った人や物を連続撮影した写真を束にして「彫る」というスタイルで作品にしている。

これはお土産屋さんで気になって購入したというモビール。古い家屋を活かした会場構成になっていて、作品と合わせて置かれている実物の配置のバランスが絶妙だった。

作品ごとのエピソードが書かれた紙を片手に、室内を回る。

こちらは川で見つけたというグッピー。

洗面台のガラスも彫られていた。これ、どうなってるんだろう。

そして昨日の高麗房のオーナーまで彫られていた。妙に詳しかったの、これのせいか…!

Nerholの作品、実物を見るのは初めて。「彫る」という手法じゃなくて、写真でやっても普通に面白く観られる展示だろうなと思った。紙は光沢紙ではなくマット紙なんだな、とか、連続撮影してても被写体の動きがないのはどうしてなんだろう…とか、実物を前にして改めて気付くところも多く、福岡の近くで観ることができて良かった。

もう一人の滞在作家、Sabrina Vitaliの作品は思ったよりあっさりしていたので、以前にも行ったことのある「大陸」の冷麺を食べて、帰りの高速バスへ。

福岡に戻り、konya galleryへ。同じく終了直前の川辺ナホ『In Other Words/言い換えると』展に行ってきた。仕事でもお世話になっている、福岡市美術館の正路佐知子さんが今回のキュレーター。川辺さんのことを知ったのも、正路さんが市美で企画していた「想像し直し」展で作品を観たことがきっかけで、とても好きな作風だったので、これは観に行かないと!と思っていたのだった。

宇宙開発やそれに関わった人々の云々(忘れた…)というコンセプトはあるんだけど、この人の作品は表層的な部分だけでもとても楽しく鑑賞することが出来る。これは天井からぶら下げた球体にライトを当てることで、文字が浮かび上がる作品。

こちらは炭?をレース柄に敷き詰めて、その上を天井からぶら下げられた羽が走ることで軌跡が残る作品。地球と月の関係性もテーマになっているはず。

SF小説から「I(私)」の箇所をパンチングで抜いたものを、編んだコイルの交点に貼り付けた繊細な作品。川辺さんが作るものはアート作品なんだけど、表層に見えるものにはファッションとかアクセサリーに通じるセンスが感じられて、コンセプトを理解するのが苦手な僕でも観ていて単純にドキドキする要素があって、素直に「好き!」と思える作家さんの一人。

正路さんにご本人も紹介してもらって少しお話することが出来たけど、とても気さくに受け答えして頂いて、こういうときに緊張しがちなので、とても嬉しかった。ドイツと日本を行ったり来たりされているということで、またどこかで作品を観る機会があるといいな。