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AT ALBUS
山村光春さんとの特別講座 ありがとうございました&イベントレポート
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2019.4.1

昨日(3/31)、編集者の山村光春さんが主催する「ALBUS編集教室」特別講座のゲストとして、地方ブランディングにまつわるお話をさせて頂きました。

山村さんとは15年以上前からの繋がり。当時カフェブームだった福岡で盛んにトークイベントやワークショップを開催されていて、ほぼ毎回参加していたので、こうしてゲストとして読んでもらえるようになったのは本当に嬉しいことです。
またとない機会なので、記憶している範囲で記録しておこうと思います。


はじまり

最初は山村さんの挨拶からスタート。誰もが持っている「心」が、仕事をしている中で様々なしがらみや事情で無くなってしまうこと、それをどうにかする方法を伝えたくて始めたのが「心をのせる編集講座」の始まりだそう。

次にお互いの自己紹介も兼ねて簡単な仕事紹介。事前に山村さんから見せてもらっていたお仕事が「地方」をテーマにしたものだったので(神戸、北海道、福岡、京都、筑後)、僕も地方縛りで(佐賀、波佐見、糸島、有田、山口、箱根)揃えてみました。


事例紹介

そこから実際の事例紹介へ。
僕の1つ目は八女の「お茶の千代乃園」さんのブランディング事例。実際の出来上がりを見てもらいながら、ヒアリングとリサーチ、試作を何度も繰り返していく進め方や、個人的に世の中にはデザイナーの主張が多すぎると感じているので、サンプル品や業務用の品のような簡素さを込めたデザインにした意図を伝えました。


2つ目は熊本「山鹿灯籠」の商品開発を通した伝統工芸のブランディングの事例。商品が生まれた背景や実際のリサーチなど、ものづくりの流れを紹介しつつ、最終的に地域や伝統工芸のことを全国に伝えるブランディングが出来ました、という話。

最後に、事前の告知のときにも書いていた、ブランディングが上手くいかないパターン(商品開発は出来たけど売る人が不在、信頼関係を作れず継続不可能など…)も紹介させてもらいました。ここは実際の仕事を紹介するのは難しかったので、さらっと。

ところどころで「デザインが上手くない」「自信がない」など卑屈な発言が出たけど、山村さんには「そのスタンスだからお客さんの立場や気持ちを理解できる、寄り添える。そこが三迫くんの良いところだと思う。」とフォローしてもらうシーンも。
偶然にも山鹿灯籠の仕事のお誘いをプロデューサーの永田宙郷さんから頂いたときに「デザイナーが正解を出してそれを職人に作らせるようなデザインじゃなくて、そこにいる人達と一緒に悩みながら正解を探していける人だと思ったから連絡した」と言ってもらえたことと重なる部分があって、そのままで良いんだよと言ってもらえたような気がしました。
普段の仕事は一生懸命取り組んでいますが、山村さんの言う「心が乗った」仕事が出来ているのかなと不安になることも多かったので、自分なりの心の乗せ方の一つの方向性が見つかって、これからの仕事に向かう糧になりそうです。


続いて山村さんの事例紹介。スライドを用意してきた僕とは対象的に、ブラウザで実際のWebサイトやPDFを見せながら「喋り」で伝えていくのが山村さんのスタイル。

1つ目は北海道・宗谷地方10市町村の魅力を伝える取り組み「SOYA PARTY」。と、そのコンセプトブック。アウトドアの盛んな宗谷を、女性のモデルさんや雑誌「GO OUT」のスタイリストさんに登場してもらい、外からの目線で紹介しています。地方の人は恥ずかしがりな人が多いから、自分で自分のことを自慢するのではなく、外の人が紹介することが大事。山村さんは「誰」が言っているのかということを重視しているそうです。

2つ目は京都で手捺染のストールを作っているブランド「sakira」。色が綺麗、という手捺染の特徴を伝えるために山村さんが連想したのは、誰もが無条件で好きになれる「花」の美しさ。そこから生まれたコンセプトの文章は、山村さんらしさが詰まった素敵なお仕事でした。商品のアドバイスや、写真のディレクションななんかも行われているそう。

最後は長野県上田市で北欧の家具を取り扱うお店「haluta」。最初は本を作りたいという相談から始まって、山村さんが「一つだけ伝えたいことがあるとしたら何ですか?」とhalutaさんに訊いたところ、出てきた答えが「上田でやっているということ」。その土地の魅力を伝えるためには本ではなくWebで継続的に伝える必要があるし、そのためには実際に住んでみる必要があると感じた山村さんは東京と長野の2拠点居住を始めることに。こうして生まれたWebブック「haluta365」では、通常のブログ記事に加えてWeb上で本のようなレイアウトで読める「SPECIAL BOOK」というコンテンツがあります。

ここでもSOYA PARTYのように外部の人が見た上田やhalutaの家具の魅力が紹介されています。ブログではなくあえて「本」の形態を取ることで、1つだけ言いたいことをそのままパッケージできるのが良いところ、とのこと。

山村さんが地方ブランディングにかける思いは、haluta365のABOUTページの文章に集約されているそうです。

「僕らは、いつもどこかへ行きたそうにしている。
なのに、ずっと自分の居場所をつくりたがっている。」

地方ブランディング=外部の人にとっては、その人の居場所を作ること。地方に住む人にとっては、その人の居場所を伝えること…山村さんの言葉にも、特に力が入った瞬間でした。

ここで時間が来たので、休憩を挟んで質問コーナーへ。


質問コーナー

休憩中に質問を紙に書いてもらったものを集約して、山村さんと僕とで答えていきました。
地方ブランディングの成功の秘訣はありますか?「この文章は誰の視点で書かれているのか?」を防ぐには?センスを磨くには?など、さまざまな質問が集まり、答えていくのも楽しかったです。時間の都合で30分ほどしか使えなかったけど、あと2時間ぐらい喋り続けたいと思うぐらい楽しい時間でした。

僕が千代乃園さんの事例のときに「デザインされすぎたものが多すぎると思う」と言ったことに対して、「そんなことを考えているのはデザイナーだけでは?一般の人がそこまで考えていないと思う」という意見(細部は違ってるかも)を出してくれた方も居て、個人的には両方の視点を持つことが大事だと思っていたので、その辺りについて言葉にして説明する機会が持てたのも嬉しかったです。


おわりに

イベントの後、アルバスの目野さんと三人でお店に入り、反省会も兼ねて4〜5時間ほど喋り倒しました。イベント中もそうだったけど、頬が筋肉痛になるぐらい笑った…!
今回、山村さんのお喋りの楽しさだけで満足して頂けるイベントになったと思いますが、事例紹介の後に少し時間を取って、地方ブランディングの面白さ、難しさ、そこにどうやって「心」を乗せていくのか…などのお話が出来たら、もっとテーマに沿った内容になったよね、という話になりました。その辺りを聞きたかった方には、すみません!今後も編集講座の卒業生ゲストシリーズは続くので、今回の反省は次回以降に必ず生かされると思います。どうぞご期待下さい。

会場には初めての方はもちろん、同業者の友人知人や専門学校時代の学生や卒業生、このブログを読んでくださっている人など沢山の方が集まってくれました。久しぶりに会う人も多かったし、それぞれが面白い活動をしている人たちなので、イベントの後に交流会的なイベントを仕込んでおけなかったのが悔やまれます…挨拶も満足に出来なかった方、本当にごめんなさい!また会いたいです。

以上、ALBUS編集教室 特別講座の報告でした。勢いで書いているので、認識の間違いとかあればご連絡ください。
お越し頂いた皆さん、本当にありがとうございました!!