taromagazine™ / taro misako
Tourism industry
デザインの仕事にも通じる『世界一訪れたい日本のつくりかた』
/
2019.4.25

最近、観光に関わる仕事が多いこともあって、資料としてこの本を読みました。

世界一訪れたい日本のつくりかた―新・観光立国論【実践編】
東洋経済新報社 (2017-07-07)
売り上げランキング: 31,069

著者は元ゴールドマン・サックスのアナリスト(分析家)で、現在は日本の国宝・重要文化財の補修を手がける会社を経営し、日本政府観光局特別顧問を務めるイギリス人、デービッド・アトキンソンさん。


この本によると、世界の観光産業は2015年に世界のGDP総額の10%を突破し、すでに自動車産業を上回る規模になっています。
2007年には800万人だった外国人観光客は、2016年には2400万人を突破。日本政府は2020年に4000万人という目標を掲げるなど、一見すると日本が観光地としての人気はうなぎ登りのような印象を受けると思います。

しかし、2015年の外国人宿泊者数ランキングでは、1位の香港、2位バンコク、3位ロンドンに対して、東京は17位で京都はなんと89位。世界レベルではまだまだ遅れていると言わざるを得ません。

そんな日本は観光大国になれる条件「自然・気候・文化・食」の4つを備えた国。観光客の移動距離と落とすお金は相関関係にあるから、海外旅行に行く人の割合の多いヨーロッパ圏から距離があるのは大きな強みなんだそう。


この本ではアナリストの著者らしく、具体的な数字と、それに対する考察によって、日本の観光における課題と対策を明るみに出し、「あとはやるか、やらないかの覚悟だけです」と励ましてくれるので、観光業に間接的な関係しかないデザイナーの僕でも「なんか、出来る気がする!」という高揚感に包まれるような読後感の本でした。


2020年に外国人観光客4000万人を達成するには、近郊の中国・韓国の短期滞在の観光客や、日本に興味のある「日本ファン」のヨーロッパ人だけではなく、もっと満遍なくリーチする必要があること…みたいなくだりは、仕事をしていて「分かる人にだけ分かればいい」という気持ちになりがちな自分にグサッと刺さるところがあったし、
日本人が考える外国人向けの広告に出てくるキャッチコピーや翻訳の問題、どうして現地に来た人に配布するパンフレットに地図や交通アクセスが大きく載っているのか…そもそもその文章は外国人の目線で書かれているのか…など、普段の仕事に対する意識を見直すきっかけにもなりました。
相手のことを知り、何をすれば通じるかを考えるのは、どんな仕事でも同じだな〜。

この手の本って、具体的な成功例を羅列して、それらの共通点から成功の方程式を見出す…みたいなものが多い印象があるんですが、「運やタイミング、資金の違いもあるし、どこにでも通用するものでもないよな…」と、読み終えた後に冷めた気持ちになってしまうことも多いけど、この本は明確に回答を示しているので、その点でも魅力を感じる一冊でした。読んで良かった。

tags: