taromagazine™ / taro misako
OLDMAN PRESS
福岡・清川のOLDMAN PRESS(日高印刷)で活版印刷の名刺作り
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2019.5.14

ここ最近は自分の中の活版印刷熱も落ち着いてきて、従来の印刷方法の良さを見直したりしていたこともあって、自分の名刺はオフセットで刷っていたんですが、アシスタントの福田さんが活版印刷を見たことが無かったので、研修も兼ねて久しぶりに活版印刷をお願いしてみることにしました。

福岡にはいくつかの活版印刷所がありますが、今回は以前にもヌードルライターの山田さんの名刺を印刷してもらった(そのときの記事はこちら)OLDMAN PRESS(日高印刷)さんにお願いすることに。しばらく行かないうちに、美野島から清川のほとりに引っ越されていました。川のそばをジョギングする人たちもいたりして、のどかな雰囲気です。

サッシの入り口から中に入ると…

引っ越し前から使われていた有孔ボード使いが印象的な印刷所と、お久しぶりの日高真吾さんの姿が。

すでに版がセットされていて、何枚か試し刷りをしてくれていました。
今回は薄い紙に圧力を抑えて印刷したいと伝えていたので、よく使われる亜鉛凸版ではなく、硬質の樹脂凸版を使われるそう。
写真中央の透明なプレートが版です。「活版印刷」というと金属の活字を組み合わせたものを思い浮かべる方も多いと思いますが、こうした版を使うことでIllustratorデータをそのまま活版印刷することができるんです。

今回のデザインの特徴は、レイアウト上でのデザイン性は排除しつつ、紙のサイズ感や印刷の仕様のディティールでしっかりデザインするという、通好みを狙ったバランス感。英語を入れたりラインを入れたりするような分かりやすい「デザイン」要素は使わず、135kgという薄手の再生上質紙(普通の人は名刺に使わないと思います)にフォントワークスの「ドットゴシック」でファミコンのような文字が銀色で入る…という、他のデザイナーさんがあまり選ばなさそうな仕様にしました。

↑の写真は試し刷り。右側は印刷の圧力が強いのと、インクが乗りすぎて文字が太っているので、左側のサンプルを元に進めることに。
紙に対して文字の色が思ったより濃く出たので、少し色を薄くしてもらうことにしました。

銀色のインク、日高さんは一般的なDICカラーではなく、「女神インク」を使われることが多いんだそう。

これを薄めるために、「メジューム」と呼ばれる液体を混ぜて、薄めていきます。

何度も試し刷りを繰り返しながら、インクの濃度と盛り方、印刷の圧力のバランスを探っていきました。

こちらは福田さんの版。以前はアシスタントデザイナーという肩書を入れていたんですが、イラストの仕事が増えてきたので今回から「designer & illustrator」という肩書に変えてみました(頼りにしてます!)。

そうして出来上がったのがこの2枚。

最終的には、やはり圧力をかけた方がドットゴシックの「つぶつぶ」感が分かりやすかったので、インク少なめ、圧力強めで印刷してもらいました。
試行錯誤を繰り返したおかげで、紙とインクの馴染み方も、当初のイメージ以上のものが出来上がりました。こんな風に、現場で微調整ができるのも仕組みがシンプルな活版印刷の魅力だと思います。

角度を変えると、凹凸がはっきり見えますね。

おなじみのシロクマロゴもドット表現に。ドットゴシックのピリオド(.)を使って新しく描き直しました。
このロゴを初めて見る人は意味がわからないかもしれないけど、仕事を続けていく上では自分が飽きないことも大事だと思っています。

名刺が完成したので、社内を案内してもらいました。今回はハイデルベルクの大型の活版印刷機を使いましたが、手作業で印刷できる「手フート」型の印刷機も持たれています。

引っ越し前と同様、活字もありました。ここにある文字だけで名刺を組んでもらうのも、デザインソフト全盛の今なら新鮮かもしれませんね。

神社のお札も印刷されているそうです。こういうのって未だに活版印刷なんですね。

こちらはおみくじ。活字で組まれています。こうしたデータ、今ではデジタルで保存できますが、この頃のものは組んだものを直接保存してたんですよね…文字通り、重みが違います。

こちらは箔押し機2種。自動のものと、レバー式の手動のもの。同じシェアオフィスの5iveさんが箔押しだけで名刺を作っていて、それもいい感じでした。箔押しと言うと金や銀が主流ですが、日高さんのところでは「顔料箔」と呼ばれるいろんな色の箔を使えるみたいでしたよ。

この他にもトムソン(型抜き)加工の型や、ベビーベッドの置かれたオフィススペースなどを見学させてもらって、今回の立ち会いは終了。
活版印刷初体験の福田さんも、ハイデルベルクの機械の大きさに驚いたり、一枚一枚が違った仕上がりになることから生まれる温かみなどを感じてもらえたようでした。
以前の職場では印刷にコストがかけられず、ネット印刷ばかりだったようで、こうして印刷に立ち会えること自体が珍しかったみたい。そこから話が派生して、活版印刷の定義やオフセット印刷との違い〜オフセット印刷の仕組みなども出来て、本人の「もっと知りたい」という気持ちを刺激することが出来たので、立ち会わせることが出来て良かったなと思いました。


日高さん、お忙しいところありがとうございました!



日高印刷/OLDMAN PRESS
〒810-0011 福岡県福岡市中央区清川3丁目11-5(Google Map

TEL: 092-531-1605
FAX: 092-531-1604
http://www.hidaka-insatsu.jp


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