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OKAYAMA ART SUMMIT
岡山芸術交流2019
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2019.11.6

岡山で3年ごとに行われている芸術祭『岡山芸術交流』に行ってきました。
今年は福岡の太宰府天満宮で『ソトタマシイ』という屋外展示を行っているフランス人のアーティスト、ピエール・ユイグ氏をアーティスティック・ディレクターに迎え、廃校となった旧内山下小学校という場所を中心に、市内各地でさまざまなアーティストの展示が行われています。

土が盛られ、どこか別の惑星のような地形になった校庭に入ると、丘の上の子ども達に混じって3人の男女がハミングしながら歩いてきます。
3人はそのまま隣にあるプールに向かうのですが、水の色は「白人の平均的な肌の色」を模して作られた『皮膚のプール』になっていて、その水面には無重力状態で交配実験を行われるカエルの映像が映り、隣には放射線によって被爆される朝顔が茂っている…。
そんな状況の中、3人は時には歌い、踊り、プールサイドに座り込んだりしながら、次の場所へと歩いていきます。

この人たちは鑑賞者に紛れ込んで活動するパフォーマーで、足取りを追いかけていくことで学校内に点在する展示物を巡れるようになっているとのことでした。自分たち以外の人がまったく居なくなると、目の前には3人とたまたま居合わせた鳩だけが居る…みたいな状況になったりして、鳩も仕込みかロボットなんじゃないか、この人たちも本当に人間なんだろうか…と感じるような瞬間があり、不思議な体験でした。

学校以外にもさまざまな場所で展示が行われていて、前川國男作品の林原美術館をはじめとした建築も興味深く(岡山城は時間がなくて寄れなかった)、こうした場所でディストピアSFの小説の世界を体現したような、退廃的な作品たちが見られる状況がとても面白かったです。


今回のテーマは「もし蛇が」。芸術祭のサイトやフライヤー(髙田唯さんがデザイン。会場のバナーなども上手い!)などにはこれを受けたテキストは一切なく、それぞれの感じ方に委ねられているようです。唯一、公式のカタログ(ドヴァランス氏によるデザイン)にはピエール氏によるテキストが掲載されていて、それによると、今回の芸術祭の世界観は西暦4936年、加速し続ける時点のせいで崩壊を続ける地球の上で、人工生命や装置たちが動き続ける世界…というイメージから、今回のキュレーションが行われているみたい。ディストピアSFのような…と感じたのも、あながち間違いではないみたいです。


作品それぞれのクオリティも高く(前述のパフォーマー3人と、ティノ・セーガル『アン・リー』が特に印象に残りました)、これだけストイックな内容の芸術祭が市街地で展開されていることに驚きますが、岡山県・岡山市と共同で主催している、石川文化振興財団という財団が大きな役割を果たしているようです。石川財団は芸術祭の他にも所蔵作品を街に長期間貸し出す「A&C(Art&City)」や、市内にアーティストと建築家による宿泊施設をつくる「A&A(Artist&Architect)」などのプロジェクトも行っていて、それぞれを見学させてもらったのですが、どちらも興味深い取り組みでした。


岡山芸術交流は11月24日まで開催中。博多からも新幹線で2時間弱と、意外と近いですよ(今回も日帰りでした)。
岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT 2019

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