
10周年記念祭のサイトを制作させて頂いた、山口情報芸術センター(YCAM)で
音楽家の渋谷慶一郎+劇作家の岡田利規(チェルフィッチュ)による
「現在可能な最も先鋭的なオペラ ボーカロイドによるオペラは可能か?」を
テーマにしたオペラ公演「THE END」を観てきました。
来年には東京で公演されるという噂もあり、あまりネタバレしてはいけない雰囲気があるので、
若干オブラートに包んで簡単な感想になりますが、これまで様々な文章によって語られてきた
初音ミク(ボーカロイド)論を、映像・音・テキストによって完成させた作品としては
僕の知る限りでは最も手がかかって大規模なものなんじゃないかな、と思いました。
渋谷さんの音楽、オペラや演劇についての予備知識が殆ど無いので
今回の公演がどれほど先鋭的だったか、というのを正確に判断するのが難しいんですが、
公演に集まったアート関係者の方々や、公演が終わった直後の熱気(上の写真)から
これに関わっている作家さんたちの各分野の仕事が交錯することで、新しい何かが
生まれるんだな、という空気を感じることが出来たのが今回の一番の収穫でした。
本当に多くの方が参加されているので、これからそれぞれの方の作品、
インタビューや感想を読むのが楽しみです。
個人的にはメインビジュアルを作られたAD吉田ユニさんと、映像作家のYKBXさんの
映像ではないイラストレーションのお仕事が気になりました(わ、グラフィックデザイナーっぽい…!)。
あとは音響設備、YCAMのスピーカーの殆ど全部を投入して作られているらしく、
音についてはこれまでに体験したことのない立体感でした。座席も揺れてた!
建築家の重松象平さんによる舞台装置も面白くて、全体としてこれをYouTubeとかで観たら
全然面白くないだろうなーと思いました。
普段はこういうイベントは参加者目線で楽しめるんですけど、「THE END」については
自分が好きなもの、関わりたいものの成分がかなり多めに含まれていて、
一応、何かを作りたい人として、ここに近付くことが出来るんだろうか…と途方に暮れる気持ちもあり、
しばらくモヤモヤ気分が続きそうです。
あと、もし初音ミクのファンの方で今後、「THE END」を観ることになる方は
事前にこちらの「渋谷 慶一郎+東 浩紀 feat.初音ミク『イニシエーション』」を
観ておいた方がいいかもしれませんよー。
↓公演に行かれた方&ネタバレが大丈夫な方はこちらも面白かったです。
渋谷慶一郎+岡田利規 新作オペラ公演「THE END」@山口情報芸術センター(YCAM)(2012.12.02) – MetaParadox
http://d.hatena.ne.jp/MetaParadox/20121203/1354528098
THE END、YCAMミクオペラネタバレツイート集 – Togetter
http://togetter.com/li/416796