(写真はリニューアル前の店舗)
YCAMの石川琢也さんからのご紹介で、山口県宇部市の書店・幸太郎本舗TSUTAYAの児童書コーナーのリニューアルを行いました。
出版不況と言われている現在でも売上の立っている児童書にさらに力を入れたいということと、毎月行っている読み聞かせ会のスペースが足りないため、本棚を動かせるものに変えたいというご依頼内容でした。
動かせる本棚、というご要望から連想したのが「本棚をSLにする」というアイデア。そこから、テーマを「えほんのえき」として、イラストを使ったイメージ図を提案し、これを「面白い!」と気に入って頂いたところから、プロジェクトが始まりました。
僕たちは現場での施工はもちろん、図面を引いたり、使う素材や照明についての知識が全く無かったので、YCAMを始め、山口県内を中心に活動されている「かしわ製作所」の柏良治さんに相談し、こちらはデザイン監修、それ以外を柏さんにお任せする形で、一緒に企画を進めていきました。
↓そして、完成したのがこちらです。
全体的には木の質感を活かしつつ、ところどころにグリーン・ピンク・イエローのパステルカラーで配色を行い、明るさ・楽しさとやさしさを感じさせる雰囲気を目指しました。
中央にはトンネルを置き、子どもたちがSLの運転ごっこをしたり、くぐって遊べるようにしています。また、狭いスペースを感じさせないようにする工夫でもあります。
既存の動かせない本棚も、同様のカラーリングでまとめました。
年齢や出版社を仕切る、仕切り板も専用にデザイン。「えほんのえき」に集まってきた動物たちという設定で、合板にレーザーで文字を焼き込みました。一枚一枚違う動物のイラストは、福田が担当しました。
時計はMAGIS、ペンダントライトはartekのものをコーディネート。歴史のある会社の手掛けるデザインを子供にも感じて欲しいという思いと、同じ質感のものばかりだと空間が単調になるので、アクセントとしての役割もあります。時計は、僕が子供を本屋さんに連れて行くときに、時間が分かったほうが色々と便利、という経験もあって設置しました。
本棚やベンチには、空間を有効利用するために、すべて引き出しが付けてあります。ベンチの方には座るところだけではなく、飲み物を置いたりするための台の部分も用意しました。これも自分の経験が元になっています(子供より大人が座りたい)。
こうして生まれ変わった児童書コーナー、さっそく子供たちがトンネルをくぐったり、突如現れたSLに興奮してくれたりと、すんなり受け入れてもらえているようです。
初めて関わる空間のプロデュースでしたが、かしわ製作所さんのおかげで無事に完成することができました。ここまでスケール感のあるものに関わるのも初めてだったので、完成させることでまた一歩、活動のフィールドを広げられた手応えも感じています。
幸太郎本舗さんとは現在も進行しているプロジェクトがあるので、また紹介できたらと思います。