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UKIYO-E PAINTINGS
福岡市美術館「肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画-」

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ちゃんと実物の写真を撮らねば…と思いつつ、会期が終わる前に告知したいので先に画像でご紹介。
ポスター(B1〜B3)・フライヤー・チケット・招待状・その他広告やfacebookカバー写真まで、さまざまなデザインを制作させて頂いた
福岡市美術館「肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画-」が8/8(土)〜9/20(日)まで開催中です。
昨年末から制作が始まっておよそ9ヶ月、ようやくスタートを切ることができました。

展示について

一般的に知られている浮世絵の多くの作品は、多色摺の木版画「錦絵」です。
しかし、浮世絵にはもう一つの世界「肉筆浮世絵の世界」がありました。
絵師、彫師、摺師との共同作業で完成する「錦絵」に対し、最後のひと筆まで浮世絵師が完成させる、一点物の絵画「肉筆浮世絵」。
本展では葛飾北斎・喜多川歌麿などの絵師たちによる約170点に及ぶ肉筆浮世絵が展示され、
画家としての浮世絵師の力量を、色や筆致を通して間近に感じることが出来ます。

また、今回は公営の美術館では日本初となる「春画」も、18歳未満入室禁止の「特設春画展示室」で展示されます。
こちらは肉筆画だけではなく版画の作品も並びますが、ただのポルノグラフィティとは言い切れない魅力がある企画です。
難しいポーズを描こうとして、絵としてのバランスはちょっと崩れてるかな…というユーモラスなものから
個人的にもお気に入りで、今回の展示で最も美しい絵なのではと感じた鳥居清長「袖の巻」のような作品まで
さまざまな作品が会期中に何度も入れ替わりますので、ぜひ足を運んでみてください。

広報物について

メインビジュアルには掲載する作品の選定から参加させて頂き、今回の特徴である肉筆浮世絵の中でも名作と言われている
葛飾北斎「夏の朝」を使用し、女性のポージングに隠された、流れるような正円のラインをイメージしたデザインにしました。
情報量が多くてレイアウトのバランスに苦心しつつ、なるべく「浮世絵=江戸」の雰囲気を崩して
今回のメインである、版画ではない肉筆で描かれた美人たちの魅力がそのまま伝わるようにしたつもりです。
公開後、海外からも「ポスターを購入できませんか」という問い合わせが届くなどの反応があるようで嬉しいです。

ポスター上部に配置された小さな人は、鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん」の登場人物「真似ゑもん」。
仙女から妙薬を貰い、豆粒の大きさになって色道修行に出かけることになった好き者です。
美術館の中山副館長を囲んだ打ち合わせでの「もっと遊んで欲しい」というコメントがきっかけで、
本展の案内役として宣伝物や館内のガイドなどに登場することになりました。

展覧会図録について

001 こちらは会場で購入できる展覧会図録。ポスターと同様に、いわゆる江戸調のデザインだと他の展覧会と同じ印象になってしまうので
フランスの書体Didotと田中一光さんの光明、最近だとWebデザインで使われる游明朝を組み合わせて
ヨーロッパから見た日本、のように、少し違和感を残しつつ上品な雰囲気が出れば…という狙いでデザインしました。

本編208ページ、春画編136ページの2冊組(計344ページ)というボリュームは過去最大で、気が遠くなりそうになりましたが
途中から参加して頂いた大分のデザイナーの平野拓也さんによるサポートで、何とか完成することができました。
(実際に出来上がった本を手に取った時の嬉しさも格別でした…!)

002 003 価格は本編が2000円、18歳以上の方が購入できる春画編との2冊セットが3500円。
2冊セットには合わせて収納できる箱も付いています。会場では朱色と金色のツートンカラーが積み上がっていて、とても綺麗でした。
会期後もミュージアムショップでは販売されていると思うので、県外から来られた方も、お土産にどうぞ(重いですが…)。

会場のデザイン

IMG_1758 IMG_1760 僕が担当しているのはポスター・図録等の印刷物で、入り口のパネルや会場のグラフィックデザインは昨年のFUKUOKA ART DATEで知り合った
マツミシンノスケさんが担当されています。美術館の回りにはマツミさんがコピーを考えた、
ちょっと楽しいのぼりなども並んでいますので、こちらもチェックしてみてください。


007 展覧会初日の開会式では福岡市長、女優の杉本彩さん達によるテープカットが行われました。
この規模の展覧会のお仕事は初めてで、いろいろな新しい経験をさせて頂くことができました。

この9ヶ月間、お世話になった福岡市美術館の中山副館長、学芸員の吉田暁子さん、国際浮世絵学会の石田泰弘さん、
西日本新聞社の吉武さん、キュレーターで図録編集担当の花田伸一さん、デザイナーの平野さん、マツミさん、その他関係者のみなさま、
本当にありがとうございました!皆さんの、この展示をいわゆる名品展にしたくないんです、という思いに応えられていたら嬉しいです。


肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画-

2015年8月8日(土)~9月20日(日) 38日間
【8月】9:30~19:30(日曜は17:30まで)
【9月】9:30~17:30
(8、9月ともに入館は閉館の30分前まで)
毎週月曜休館

会場:福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園1-6)
公式サイト:http://ukiyoe-paintings.jp/

※三迫のおすすめは、展示期間が短すぎて広報物に使えなかった葛飾北斎「酔余美人図」が公開される8/22〜30か、
ポスターに使った同じく葛飾北斎「夏の朝」と、図録の表紙にもなっている鳥居清長の春画「袖の巻」が公開される
9/1〜20のどちらかです。1回だけ行かれるなら9/1以降に行くのがいいかもしれません。「袖の巻」、僕も実物を観ていないのでとても楽しみです。

※ちなみに常設展示室では2016年の8月31日まで「TRACES|轍 ―近現代美術コレクション形成のあゆみをたどる」を開催中。
2016年9月からの休館と2019年春のリニューアルオープンを控え、同館のコレクションが出来上がる過程を解説付きで辿る
とても分かりやすい展示になっています。ジョアン・ミロ、ダリ、バスキア、ウォーホルなどの誰でも知っている名作から
今回初めて観ることが出来たベルナール・ビュッフェ、グルスキー、三迫がポスターや図録などをデザインした
21世紀の作家−福岡 大浦こころ展 やわらかな圧力」まで、福岡市美のコレクションを一同に観ることのできるチャンスですので、
合わせてチェックしてみてください(肉筆展の半券で無料)。

※さらに近現代美術コーナーでは8/23まで「彫刻/人形」という企画展が行われています。こちらもいわゆる彫刻作品から博多人形、
巨大デスクリムゾンで(僕に)大人気の角孝政さんの作品、さらに那珂川の大工・土山康徳さんによる檜のΖガンダムまで
カオスなラインナップになっていて、こちらもおすすめです。組み合わせの妙ってありますよね…!


新発見 浮世絵師歌麿の肉筆、墨一色の美人画 (西日本新聞) – Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150723-00010008-nishinp-cul
展覧会の準備中に、なんと喜多川歌麿の作品が新しく見つかったそうです。こんなこともあるんですね。